高さのある構造物を建築したり補修などを行う場合には必ず足場を使用しますが、これは作業員が移動するために用いることが前提で、他にも防音や防塵をするためという意味もあります。
新築であれば内部には住民がいないので建築物の中を通路で使うことができ、材料の搬入や搬出といった工事を進めるために利用することができるからです。
しかし、既に居住者がいる場合では最低限の利用しかできないため、これでは円滑に工事を進めることが難しくなるという理由から、外部に作ってそこを移動通路に使うしかありません。
足場を作る理由
また内部を使うと設置されている構造物の関係から移動する場合には無駄な動きをしなければならず、作業者の負担が大きくなるだけなのでその負担を軽減するという意味も持っています。
工事現場では既存の建物があれば最初に足場を作り、その作業を全て終えてから本格的に工事を開始するというのが一般的です。
その理由は移動手段を確保するというのが大前提ですが、工事によって発生する騒音を軽減したり、発生する粉塵を周囲にまき散らさないための予防でも使われています。
工事現場では機械を使って外壁を削ったり塗装などが行われますが、その場合には必ず音が発生してしますし外壁を削ることで粉塵も起きます。
塗装をする際には飛び散った塗料が風などで周囲に飛ばされてしまうことも考えられ、そのような被害を受けた人からのクレーム対象になってしまうのは間違いありません。
騒音に関しては軽減する程度で完全に遮断不可能
このようなクレームを発生しないように工事現場では防音と粉塵対策でカーテンを設置しますが、建物そのものにかけることができないので、足場を使って設置するのが通常です。
騒音に関しては軽減する程度で完全に遮断することはできないので、工事を行う時間によって調整するのが通常です。
深夜時間でも緊急性が高いなど正当な理由があれば行われるケースもありますが、原則的には昼間の時間帯で終了させるのが基本になっていて、そこで周辺住民には理解してもらっています。
ところが粉塵に関してはそれによって身体的な不良を起こしたり、ベランダや窓にゴミが落ちるので理解をしてもらうことが難しいでしょう。
特に気管支にトラブルを持っている場合には悪影響を与えるのは必至であり、粉塵が発生する可能性があれば飛び散らないように建物の周囲をカーテンで遮蔽しなければいけません。
ただし、完全に遮蔽してしまうと空気の流れが悪くなって生活環境が悪化してしまうので、実際には網目状のレースのようなものが使われています。
足場の構造について
足場は工事現場ではほとんどの場合で使われ、何度も繰り返して使用するような構造であり、部材で使われるのは支柱になる単管と通路部分の板状の鉄板の他に、支柱同士を繋げて強度を持たすための補強で使われる鉄管というのが主な部材になっています。
支柱の単管はボルトで強く固定されていますが溶接などで完全に密着しているわけではなく、鉄板はそのまま組み込むように置いているだけで、補強のための鉄管もボルトで固定しているだけの状態が一般的です。
短期間しか使うことがなく、使い終われば次の工事のために解体して移動しなければいけないため、完全に固定した構造にはなってはいないので強度に不安を感じる場合もありますが、建物全体を取り囲むように設置するのである程度の振動があっても耐えられるようになっています。
このような部材の設置はクレーンを使って行われることもありますが、ほとんどの場合で作業員が人力で持ち運んで作るため、軽量なアルミ合金が使用されている材料です。
ただのアルミでは強度がないので他の原料を加えた合金にすると、軽量であるのに強さも維持できるので利用しやすくなるというメリットがあり、単純な鉄製の部材が使われることはほとんど無いでしょう。
これは重量があると完全に固定した構造になっていないので、振動によって上部が大きく揺れてしまい、倒壊しなくても作業員が危険な状態になりやすくなってしまうので使われなくなっています。
まとめ
現在は新たな工法が確立されていて、超高層建築物の場合は工事が行われている部分だけに囲いを施し、全体的には設けていないこともあります。
その理由は超高層建築物で全てに足場を付けるとさすがに強度に問題が生じてしまうからであり、ここに簡易的にしか固定されていない欠点が出ています。
それでも高さがある構造物を対象にする場合には多くの工事現場で使われていて、安価で解体や設置が簡単なのに強度を持っているので、古くから利用されている方法ですが現在でも工事をする時の主流です。
既に住人が居住していると足場を作ることで日当たりが悪くなり、外部に作業員が移動するのでプライバシーが守れないなど注意しなければいけない事例は多くありますが、高さのある構造物を作ったり修繕を行う場合には結局は人間が行う必要があるので、何も無い状態で進めることは不可能になります。
最終的には住民の理解が必要になりますが、自分が住む建物のために行っていることを理解して協力してあげてください。
最終更新日 2025年7月9日 by meisho
